冬になると熱燗が恋しくなる。夏にはちっとも恋しくならないが、寒い冬は日が暮れたら条件反射のように熱燗が頭に浮かぶ。
空きっ腹に燗酒を流し込んだ時のあのジワ~ンと身体に広がる幸せは日本人ならではの冬の楽しみだ。
この画像は新富町のお寿司屋さん「なか山」での一コマ。白身、カツオの刺身、白子、香箱ガニを並べての熱燗タイムだ。
寒い夜にこういうラインナップで燗酒をやっていると嫌いなはずの冬という季節ですら愛おしく思える。
さてさて、平成になった頃から一気に世の中に浸透した冷酒によって、どことなく燗酒は立ち位置がビミョーになったような印象がある。
だからこそ、あえて熱燗を楽しむのが大人の素敵な嗜みのようにも思える。
あーだこーだウンチクばかりの冷酒がズラっと揃っている店で、「熱燗ちょうだい。チンチンに熱くしてね」などと注文するのは、安直に迎合していない気分にもなれて悪くない。
もちろん、熱燗が飲みたいから頼んでいるだけで無理にアマノジャクみたいな行動を取っているわけではない。私だって冷酒が飲みたいときは素直に冷酒を飲む。
でも、冷酒のウンチク合戦みたいな風潮が好きではないから、冬場はただすんなり熱燗を頼める場面が多くて嬉しい。
お燗に合う酒、合わない酒もこだわりだしたらキリがないが、たいていの店は燗酒用は1種類しか置いていない。多くても2種類ぐらいだ。
私の場合、チンチンに熱くしてもらいたいから店のおまかせで充分だ。徳利を持つのにおしぼりでカバーするぐらい熱くなっているぐらいが嬉しい。
Wikipediaに載っていた酒の呼び方の違いである。温度の差によって随分といろいろな名称がある。
燗酒と一口に言ってもその段階は小刻みだ。一番上でも55度ぐらいだが、私は60度ぐらいでもOKである。
自宅には体温計みたいな「お燗メーター」を置いてあるが、自分で湯煎する際は目盛りが60度になるまで待っている。
一般的には熱すぎる温度だが、こればかりは個人的な好みだから仕方がない。外で飲む際は相当しつこく「アッツアツで」と頼まないと自分好みの温度では出てこない。
こちらはつい最近、我が家の近くに出来た新しいお寿司屋さんでの画像だ。新富町と八丁堀の間にある。大将と息子さんが切り盛りしていて、息子さんがお酒の研究に余念がない。
燗酒にもこだわりがあるようで、熱々が好きだと伝えたら60度設定でお燗をつけてくれた。
ハッピーだった。イカワタの塩辛を巻いたイカのルイベに生ウニ、氷下魚(こまい)を並べてウットリである。
住宅街にポツンとある店だから、平日はまだまだ空いていることが多いらしい。銀座あたりでいまハヤリの“おまかせ一辺倒”みたいなつまらない店ではないので、いずれ混雑しちゃうはずだ。
なんだか燗酒の話なのか寿司の話なのかグチャグチャになってきてしまった。
結局、寒い冬の夜にお寿司屋さんのカウンターに腰をおろして熱燗とウマい肴を楽しむのはオジサマという種族にとっては至高の喜びだというのが今日の結論。
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