退陣する菅首相は、就任当時はパンケーキおじさんと呼ばれて支持を集めた。たった1年でそんなホノボノした話は聞かれなくなった。諸行無常である。
大衆ウケ狙いのアザといアピールだろうと思っていた私だが、最近、私自身がパンケーキおじさんに変身してしまった。今になって菅さんのスイーツへの思いが分かる気がする。
朝ご飯はコメという私の半世紀にわたるこだわりは今年に入って一気に崩れた。朝からウーバーイーツでスタバを頼んだり、朝マックを持ってきてもらううちに、コーヒーにパン類というパターンが増えた。
ソーセージマフィンだ、サンドイッチだと私にとっては斬新?な朝メシを楽しんでいたのだが、いよいよホットケーキだのフレンチトーストだの甘ったるい世界にも進出してしまった。
一人暮らしのオジサマが部屋で一人、朝からホットケーキを食べている姿を思うと自分のことながら結構シュールである。
始まりはマクドナルドのホットケーキだ。その昔、子供が食べているのを横からつまんだ際に、その安直な甘ったるさとシャバダバな?見た目に自分には無縁の食べ物だと感じた。
それが今は好物になってしまった。朝の時間帯はビッグマックもグランマックも販売していない。私が喜んで食べられるのはフィレオフィッシュぐらいだった。
ある日、フィレオフィッシュとともに成り行きで頼んだホットケーキが美味しく感じた。50代にして目覚めた蜜の味である。革命だ。
率直に言えばただ甘いだけである。料理として創意工夫のカケラも感じられない単調な味なのだが、妙にウマい。
コーヒーと一緒に味わったせいで、何となく「これはこれでアリだ」とこの歳になってようやくヤツの存在意義に気付いたわけである。
今も「ただ甘いだけで料理として創意工夫のカケラも感じられない」というディスった印象は変わらないが、その部分がすっかり好きになって中毒状態である。
とある週末、朝マックとは別のホットケーキが食べたいと思い、ウーバーを調べたところ、ハワイ発祥のパンケーキ専門店「Eggs'n Things」が出てきた。
その昔、ワイキキの店に何度も行ったことがある。その時は同行者が食べるパンケーキを一口もらうぐらいで、私はモーニングステーキなどガッツリ塩味系を食べていた。
今の私はパンケーキおじさんである。さっそくフレンチトーストとストロベリーパンケーキを注文してみた。
家にいながら「Eggs'n Things」のパンケーキが運ばれてくるなどとは、ハワイに何度も出かけていた若い頃には想像も出来なかったことだ。実に便利な時代になったものである。
糖分に飢えていたのだろうか、二つとも完食してしまった。食べながら気付いたのだが、パンケーキという食べ物にウマいマズいはあまり無いのではないか。
すべてはメープルシロップの味に支配される。溶けたバターも風味をアップさせるが、基本的にはメープルシロップを食べている感じだ。
バナナやイチゴやマンゴーなどをパンケーキに混ぜ込んであるパターンもあるが、私の好みはプレーンである。そうなると味の違いはさほど無いような気がする。
いや、パンケーキの初心者である私がそんな風に決めつけてはいけない。もっと謙虚に研究しようと思い、別な日、わざわざ東京ステーションホテルのラウンジまで出かけてパンケーキを注文してみた。
見た目や付属品?はさすがにホテルラウンジだが、冷静に肝心のパンケーキだけを判断すると、やはりシロップのアノ味である。それ以上でもそれ以下でもない。
パンケーキだけ食べたかった私にとって周囲のゴテゴテは不要なわけで、そっちにも気を回すことが面倒だった。
というわけで、結論としては、マックのホットケーキで充分である。専門店が付属品のように添えるシロップ漬けになったフルーツも私は要らない。ただバターとシロップがあれば充分である。
そう考えると、あの素っ気ないマックのホットケーキは希有な存在だ。至高の一品かも知れない。不要なものを削ぎ落とした凄みすら感じる。大袈裟か・・・。
ヘンテコな結論になってしまった。
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