一時期に比べてすっかり縁遠くなったのが夜の銀座だ。夕方に食事に出かけることは多いが、夜も更けた時間の銀座への出没率は以前に比べて大幅に下降した。
遅い時間に外にいる習慣がなくなったことが大きい。これは多くの人に共通する心理だろう。
夜も10時を過ぎると外にいることが落ち着かなくなる。良いのか悪いのか分からないが以前ならお爺さんみたいな心理状態である。
そんなお爺さんモードの私だが、先日久しぶりに深夜まで銀座で痛飲した。母校の3つ下の後輩に誘われワイワイガヤガヤの時間を過ごした。
その後輩は中学高校だけでなくたまたま大学も同窓だ。固い分野の本業の社長業の他に道楽?で銀座に2件の飲食店も持っている。
クルーザーもハーレーも乗りこなし、スポーツ系有名人のタニマチ的な付き合いもあるようで日々豪快に活躍している。
夜の銀座でブイブイ言わせているコワモテ顔の男なのだが、なぜか先輩である私を慕って、いや面白がって時々声をかけてくれる。
もう何年も前に夜の銀座で偶然“拿捕”された際には、私も張り切って何件かのクラブに先輩ヅラして連れて行った。
ところがどの店に行っても彼は私よりその店の常連だったようで、敗北感?のような妙な気分を味わった覚えがある。
その日はまずはラムしゃぶを突きながらひとしきりバカ話に励む。お互い50才を過ぎているのに話題は大昔のオッパッピーな話ばかりだ。
この歳になってしがらみのない関係で単なるバカ話に花を咲かせることは幸せなことだ。
つい最近の話のように盛り上がっている話題が実は40年も前のことだったりする。童心に返る時間は精神衛生上なかなか良い効果があると思う。
特製スープがやたらとウマい鍋だったのでシメの雑炊も絶品だった。チーズをぶりぶり投入してリゾット風にして楽しんだ。
食後はお決まりのクラブ活動である。先輩の威厳を保とうと馴染みの店に行こうと思ったのだが、祭日前のこの日は休業にして連休にしている店が多く、2軒ほどトライしたのに両方とも閉まっていた。
結局、雨も降っていたので後輩の知り合いの最寄りの店に入る。どうもこの後輩の前では私の先輩ヅラ作戦はスムーズに運ばない。
夜の銀座にもそこそこ人出が戻ってきたようで店内はそれなりに活気があった。クラブ活動はこうでなくてはいけない。お客さんがポツポツしかいない淋しい眺めは気分が落ちる。
結局、日付が変わっても夜の銀座にいた。何年ぶりのことだろう。10年ぐらい前は頻繁にアフターにまで繰り出して日の出を見ることさえあった私だが、いまや12時を回っただけでアワアワするようになった。シンデレラみたいだ。
結果は激しい二日酔いである。実に正しい銀座の夜の過ごし方だった。
後輩は来年、数ヶ月かけて各地を転々としながら沖縄までクルーザーで旅をするらしい。瀬戸内海あたりにいる頃に数日間だけ私も混ぜてもらおうかなどと考えている。
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