3年ほど前に中央区に引っ越してから水辺の散歩が好きになった。最初の頃は銀座が近いなどとハシャいでいたが、今ではすっかり川沿い散歩マニアである。
住まいから近い距離に隅田川が流れており快適な遊歩道が整備されているおかげだ。遊歩道・隅田川テラスに初めて行ったときはちょっと感動したほどである。
隅田川テラスは50年以上前に汚染されてヘロヘロだった川沿いを都民の憩いの場にするべく学者さんが提案したことが始まりらしい。
以来、自治体や住民ぐるみでエリアごとの個性を活かしながら遊歩道が整備され今のような快適な環境が整ったわけだ。先人の努力がとても有難い。未来のために実施されるプロジェクトの尊さを痛感する。
永代橋の近くであれば橋の曲線をイメージしたデザインが歩道に施され、築地の聖路加病院がある付近であれば明治時代の外国人居留地を模した赤レンガの壁が設置されている。
車や自転車がいないからホンモノの歩行者天国である。随所に花も咲き乱れマスクを外して新鮮な空気を吸いながら歩くのはとても気持ちがいい。
4月に引っ越したマンションは以前の住まいより川が近い。昼だけでなく夜も気軽に夜景散歩と洒落込める。隅田川にかかるいくつもの橋がライトアップされていて気分がアガる。
バンコクのチャオプラヤー川はもちろん、パリのセーヌ川にだって負けない川沿いの美しい景色だと思う。天候によっては独特の川の香りも漂う。
水を眺めるだけで何となく心が落ち着くから、今後また引っ越しする際にも隅田川テラスから遠くない場所に絞って住まい探しをするのだろう。
天気の良い週末はあてもなく川沿いを歩いて運動不足解消に励む。2本先、3本先の橋までなどと目標を決めて歩いたり、時々は遊歩道を外れて周辺を散策する。
佃大橋を渡ると佃煮発祥のエリアだ。下町の風情が色濃く残るエリアでもある。老舗の佃煮屋さんも数軒固まって営業している。ついつい覗いてしまう。
鰻の佃煮を買いたいのだが散歩の時にはポケットに少ししかお金を入れていないからいつも泣く泣く断念。仕方なくタラコの佃煮なんかを買って満足する。
時代モノの小説にも隅田川は頻繁に登場する。たいていは大川と称されて市井の人々をめぐる人情話なんかの情景描写に使われている。
いまではタワーマンションのメッカである佃島だが、その昔はかの長谷川平蔵の発案だったかで囚人の矯正施設が置かれたエリアだ。さまざまな職業訓練が行われていたそうだ。橋のない時代の孤島ならではの話である。
江戸の頃、大津波によって島の施設が壊滅的被害を受け、一時的に釈放される囚人達のその後を描いた小説を読んだこともある。あんなに静かな大川にも大暴れした歴史があるらしい。
温暖化でゲリラ豪雨が増え、いまだって増水のリスクはあるのだろうが、こればっかりは神のみぞ知る世界である。水門調整などで何とか凌いでほしいものである。
今の住まいは隅田川から徒歩3~4分の距離だから氾濫しちゃったら結構ヤバそうではある。とりあえず持ち家ではなく賃貸だから財産的被害は考えなくてよいのが救いである。
なんだか話が変な方に逸れてしまった。
新居に移ってまもなく2ヶ月、抜群にウマい和菓子屋を見つけたし驚異的にウマい洋菓子屋も見つけた。その2軒を知っただけで引っ越して良かったと思えるぐらいだ。
平和でボケそうである。
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