九段下にあったホテルグランドパレスが昨年閉館してしまって以来、私の大好物であるピラフとご無沙汰している。もともとコメが大好きな私にとってピラフという響きは魅惑的だ。聞くだけでヨダレが出る。
ピラフは本来炊き込むものだが、中華風ではない洋風系の炒めメシのことをなんとなくピラフと称する風潮もある。炊き込みメシと炒めメシでは随分違うのだが、美味しければ名称問題は小さな話ではある。
画像はフィレンツェで食べたポルチーニのリゾットとバルセロナで食べたイカスミのパエリアである。こういう料理があるからフランスやイギリスよりイタリア、スペインが好きだ
さて、パエリアやピラフ、リゾットなど生米から調理する炊き込み系よりも思い立ったら速攻で作れる炒めメシは普段料理をしない私でも時々手がける。冷凍ご飯がたまると消化するためにピラフ風炒めメシを作る。
面倒なことは嫌いなのですべて目分量だ。軽く油をひいて塩コショウと粉末鶏ガラスープが味付けの基本。その他にウスターソース、ケチャップなどを気分に応じて使い分ける。
先日はそれすら横着してレトルトのパスタソースをそのまま白米と一緒に炒めて失敗した。理由は定かではないがマズかった。やはり横着しすぎるのはダメだ。愛情を持って作らないとウマいものにはありつけない。
これがミートソース炒めメシである。一見それなりに仕上がっているようだが味のバランスが悪かった。大人向けのパスタソースだったから甘味を足せばマシになったような気がする。
いや、粉末鶏ガラスープを入れなかったせいかもしれない。炒めモノにはこの粉末が定番である。どうでもいい炒めメシでもこの粉末があれば味が決まる。安直だが事実である。
別な日、無性に食べたくなって挽肉だけの炒めメシを作ってみた。これは私が子供の頃に大好物だったもので頻繁に母親に作ってもらった。まさにソウルフードである。
塩コショウの他に鶏ガラ粉末、そしてウスターソースが味の決め手だ。どうってことない味なのだがアホみたいに食欲があった子供の頃に貪り食っていた料理だから今も時々食べたくなる。
子供の頃は挽肉ピラフと呼んでいた。なぜか当時と同じ味にはならないのだがほぼ再現出来ているので懐かしくバクバクと頬張る。こればかりはチビチビ食べずに口いっぱいに頬張るのが良い。
大人になってから初めて食べさせられたらきっとビミョーな感想しか出てこないだろう。ウチの娘もこれを食べてもちっとも喜ばない。でも私にとってはミシュランだとか食べログ4点台の店のメシより心が鷲摑みされる味だ。
別な日、無性に缶詰のツナが食べたくなって懲りずに炒めメシを作る。マッシュルームぐらいは投入したかったのに何も無かったから具材はツナだけである。
ツナしか入れない炒めメシを想像してみたがちっともウマそうではない。仕方なく細心の注意を払って味付けに取り組んだ。
塩コショウの加減、鶏ガラ粉末の量、醤油、ウスターソースを少々、ちょこっと日本酒も投入、隠し味に豚丼のタレをちょびっと。そしてケチャップで全体を整えた感じだ。
気持ちだけは真剣に、でも実にテキトーに味付けしたツナメシが完成した。感想は「普通」である。一応美味しかった。具がツナ以外何も無い以上これが限界みたいな味だった。
やはりタマネギのみじん切りぐらいは用意しないと厳しい。そんなことは百も承知だが、炒めメシのためにタマネギを買ってきて涙を流してみじん切りにするのはイヤだ。なんだか負けた気がする。
というわけで今後の突発的炒めメシ作りのために冷凍のタマネギのみじん切りを購入した。こんな便利なものが世の中にあるなんて良い時代になったものである。
カレー作りの際に投入するのが主な用途みたいだが、私の”テキトー炒めメシ”に加えても面白いかも知れない。
「まな板と包丁は使わない」。自炊における私のモットーである。炒めるか焼くかレンチンか、はたまた炊飯器で炊き込むか。これだけである。カットが必要な食材はハサミで切るか手でちぎる。
イマドキのネットスーパーには私のそんなこだわりを助けてくれる便利な食材の数々が揃っているのが有難い。
老後のために料理を趣味にしようと今まで850回ぐらいは決意したのだが、横着してもそこそこウマいものが出来るといつもあきらめる。
きっとこのまま年老いていくのだろう。ビミョーである。
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