2024年5月22日水曜日

神宮球場 古典の世界


 


かのベーブルースがプレーした野球場は世界に4つしか残っていないそうだ。その一つが神宮球場である。世界的な野球の聖地と言える存在だが、残念ながら再開発によって取り壊されることが決まっている。

 

べーブルースはもちろん、長嶋茂雄が青春を爆発させたのも神宮球場である。野球ファンならヤクルトスワローズの本拠地というよりも東京六大学野球のための球場というイメージが強い。

 

事実、六大学野球のために建設されたといってもおかしくない歴史を誇る。完成当時はまだプロ野球は誕生しておらず文字通りアマチュア野球の聖地だった。

 

ベーブルースを中心したアメリカチームが来日した際も神聖な球場を使わせるなと右翼団体が暴れたそうだ。明治神宮が管理運営しているという点からも今の時代からは想像できないほど神聖視されていたわけだ。

 

今ももちろん六大学野といえば神宮球場である。ひょんなことからこの春のリーグ戦を5週続けて観戦した。凝り性な私らしくハマってしまった感じだ。マメに足を運んだことで今更ながら球場が取り壊されることが残念で仕方がない。

 



今のラグビー場跡地にモダンな新球場が作られるそうだが、私はもともとモダンよりレトロが好きだ。六大学野球モダンな野球場で行われるなんて興冷めでしかない。

 

各大学の応援団が団旗を掲げて校歌を歌い、敵にエールを送りあうあの光景がモダンな球場で行わることは想像ができない。何事も永遠はないとは分かっているが何だかとっても淋しい。

 

大学生時代、神宮で野球観戦をしたのは3回か4回ぐらいだったろうか。急にハマっちゃったことで春のリーグ戦観戦だけで当時の回数を上回ってしまった。秋のリーグ戦も毎週通ってみようと思う。平日開催の東都大学野球も未体験だからぜひ時間を作って観戦したい。

 

この歳になるとどこの大学を応援するかというより若者たちの一生懸命なプレーを観ることが単純に楽しい。一応は母校を応援するが、母校とは無関係の試合も楽しく観戦している。

 



プロ注目の選手をチェックしてその動きを興味深く観察したり、ガイドブックで出場選手の出身高校などを見てアレコレ想像したり結構忙しく観戦している。

 

先日の慶應戦では昨夏の甲子園優勝メンバーで一気にアイドルみたいな人気を得た丸田選手が1年生ながら先発していたし、4番はあの清原ジュニアである。見応えがある。

 

今年初めの侍ジャパンの欧州代表との試合には大学生が3人選出された。日本代表の将来を担うことになりそうな有望株だが、唯一の野手として選ばれた明治の宗山選手だ。イケメンで打撃も守備もハイレベル。

 

この春のリーグ戦では体調不良で欠場が続いたが、当初の出場試合では私の目を釘付けにした。オーラが違うし、動き自体が他の大学生とは別格という印象があった。すっかりファンになってしまた。

 

神宮での大学野球観戦の楽しさはマメに席を移動していろんな角度から試合を観られることだ。プロの試合じゃないから基本的には空いている。バックネット裏付近も普通に座れる。

 



スタンドの傾斜のおかげでちょっと後ろに下がった席のほうが試合全体の動きが良く見えるが、バックネットやその周辺のネットに間近い席だとミットの音や打球音、ベンチからの声も聞こえて臨場感たっぷりで楽しい。

 

今頃になって楽しさに気づいた私だが、熱心なファンも多いみたいだ。若い女性のグループはもちろん、ソロ活女子も結構いる。絵に書いたような「野球好きなオッサン」も多い。一人黙々とスコアブックをつけながら観戦しているオバサンも目撃した。

 

プロ野球と違ってダラダラとプレーしないのも良い。テキパキとした動きで試合進行もスピーディーだ。面白い内容の試合だと2千円のチケット代は安く感じる。

 



学生応援席の賑やかさも一興だ。チャンスや得点時の盛り上がりはお決まりの応援歌や校歌も相まって結構迫力がある。昔から変わらぬ様式美みたいなもので、これが神宮球場という傑出したレトロの現場を彩る大きな要素になっている。

 

時代が変わっても昔から変わらないものは尊い。選手のユニフォームも然り。昔と同じデザインのままだ。応援席の様子も然り。野球界というか、日本のスポーツ界において大事に守り続けたい古典の世界だと感じる。

 



神宮球場が正式にいつ取り壊されるかはまだ不明だが、それまでは春と秋はマメに足を運んで「聖地での古典」を堪能したいと考えている。

 

 

 

 

 

 

 

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