今年のNHK大河ドラマ「天地人」が高視聴率発進をしたらしい。主人公の直江兼続は、上杉家の智将。「愛」を重んじ「義」を貫いた立派な人。私とは大違いだ。
アチコチで直江さんの話題が取りあげられているが、どっかの雑誌だか夕刊紙で読んだ記事には少し違和感があった。
要は“いまどきの経営者は直江兼続を見習え”という趣旨の記事。ありがちな「ヒーロー礼賛企画」だ。
簡単に言うと、リストラばやりの昨今、人員削減をしなかった直江さんは素晴らしく偉かったから、経営者も派遣切りなどしちゃいけないといった内容。
直江さんは確かに陣頭指揮を執った米沢藩の人員削減をしないで頑張ったそうだ。立派だ。でもよくよく読んでみるそんな単純な話でもなかった様子。
会津120万石から米沢30万石に転封になった上杉家。財政事情が4分の1になったものの、積極的なインフラ整備や産業振興で難局に立ち向かった。ついでにいうと家臣、すなわち従業員の禄高も3分の1にして頑張ったらしい。
フムフム・・。収入が4分の1になったのに人員削減しないで乗り切った。凄いことだが、従業員の給料も3分の1にしていたという部分はチョこッとしか紹介されていない感じが気になる。
インターネットの世界で直江兼続の功績を調べてみても、リストラをしなかったことばかりが強調され、家臣の禄高カットについては触れていないものまであった。
今どきの経営者だって、売上げが激減しても、社員の給料を3分の1にするぐらいの大胆な対策が講じられれば、立ち直りに向けて頑張れる人は多いと思う。
歴史の美談を引用して現代社会の問題を指摘するのは良くあるパターンだが、歴史の引用があんまり恣意的に過ぎるとチョット気持ち悪い。
誤解のないように補足するが、直江兼続の実績や考え方は掛け値なしに素晴らしいことは間違いない。石高が4分の1になったにもかかわらず、発想として人員削減を優先しなかった部分は、さすがに「愛の人」ならでは。世知辛い時こそ「愛」の力って大事なんだろう。
あくまで家臣の禄高も同様に激減させたからそれが可能だったとはいえ、普通の思考回路なら、やはり人員削減に真っ先に取りかかる。あえて雇用維持を優先したという点は、凡人と偉人の違いなんだろう。
なんだかんだ言って、結局、歴史に学べ的な結論になってしまった。
2009年1月13日火曜日
「天地人」 直江兼続と経営者
ラベル: 世相
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