古い話を蒸し返してファンの人には気の毒だが、1997年にプロ野球界の脱税汚染が世間を騒がせた。多くの選手が刑事訴追されて裁判で有罪になった。
代表格といわれたのが今だ現役で活躍するホークスの小久保選手。脱税コンサルタントに他の選手を紹介して謝礼まで受け取っていたこともあって事件の主役と目されていた。
執行猶予こそついたものの現役選手が刑事事件で有罪判決を受けるというのは異常事態。その昔の「黒い霧事件」では、刑事訴追までされなかった選手でも球界から永久追放処分されている。それに比べれば当時の小久保選手達にくだされた一定期間の出場停止処分は大甘処分として批判が多かった。
今日、このテーマを書き始めたのは、当時のダイエーホークスの中内正オーナー代行が先日、脱税で逮捕されたことがきっかけだ。
私の記憶が正しければ、中内氏は小久保の謝罪会見でも同席して怒った顔を見せていた。同じ大学出身と言うことで目をかけていた小久保選手の犯罪にショックを受けていたかのような印象がある。
10年以上が過ぎ、自分自身が脱税で逮捕というのはなんともシュールな話。ダイエー創業者・中内功氏からの贈与を認識しながら、借りた金のように見せかけて税金を免れたというのが報道されている内容だ。
税金の世界で仕事をしていると、今回の騒動が何かと気にかかる。逃亡や証拠隠滅の恐れがある場合に基本的に逮捕されるわけだが、贈与税とか相続税の脱税での逮捕という話はあまり聞いたことがない。
逮捕劇の裏に何があったのか気になる。本人があくまで借入金と言い張っていたのなら、どのような根拠で国税はその壁を崩したのだろう。
一部報道によると一部は実際に返済もしていたらしい。だとしたら、それを偽装とみなされた経緯はなんだったんだろう。
現在、わが社のベテラン記者が周辺事情を鋭意取材中だが、この時期にこんな話題がマスコミで取り沙汰されるのには何か特別な事情があるのかもしれない。
「贈与税の脱税」といえば、何と言っても鳩山前首相の“総額12億円にのぼるママからの資金提供”が思い浮かぶ。
月曜のブログでも書いたが、本人は修正申告して解決済みのつもりでも、最終の判断は国税や検察当局にかかっている。
有名人である中内氏の贈与税脱税が話題になれば、必然的に「じゃあ鳩山はどうなんだ?」という疑問は多くの国民が感じる。
ついでにいえば、「民間人は贈与税脱税でしょっ引くのに政治家はお咎めなしなのかい?」という声が少なからず出てくる。
捜査当局が前首相の問題をまったく取り上げるつもりがないなら、あえてそんな批判にさらされるリスクを負いたくないはず。
そう考えると、この時期の中内氏の逮捕劇には、捜査当局サイドの何かしらのメッセージが込められている可能性は否定できない。
ちょっと強引かもしれないが、うがった見方をすれば、そんな論法も成り立つ。
まあ、中内氏の場合、仮に事件の内容が悪質で意図的な脱税だとしたら金額も巨額であり、単純に「逮捕」はあり得る。当局への挑発的態度や抗戦モードが強かったのであれば見せしめ的な逮捕もあり得る。
はたして、事件にはどんな背景があるのだろう。近いうちにわが社の新聞でも特集する予定だ。
2010年6月9日水曜日
小久保、中内・・・。
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