2023年1月16日月曜日

美らしゃぶ亭の豚肉

 

「しゃぶしゃぶ食べたい」と聞いて思い浮かぶのは牛肉である。誰にでも共通する話だと思っていたが「しゃぶしゃぶイコール豚肉」という認識も珍しい話ではないらしい。

 

肉じゃがの肉が牛か豚かで好みが別れるように地域によって豚肉こそがしゃぶしゃぶ用の肉という所もあるそうだ。豚肉好きの私にとってはホッコリする話である。

 

牛肉がすっかり苦手になってきたから肉といえば豚肉か鶏肉を選ぶ。東京人である私にとっては牛が苦手だろうと豚肉のしゃぶしゃぶはあくまで「豚しゃぶ」と呼ぶ。

 

とはいえ、いつの日か牛と豚の地位が逆転して「しゃぶしゃぶは豚肉、牛肉だったら牛しゃぶ」になっても構わない。個人的には豚しゃぶが大好きだ。いくらでも食べられるぐらい好きだ。

 

もう10年以上前に鹿児島で「豚しゃぶには蕎麦つゆ」という最高の組み合わせを教わってからそれ以前よりも豚しゃぶが好きになった。ポン酢でもゴマだれでもない。断固として蕎麦つゆで食べるべきなのが豚しゃぶである。

 

家でも簡単だ。濃縮2倍や3倍の蕎麦つゆをお湯で濃いめに割ってネギをどさどさ入れるだけ。ネギ無しだって充分にウマい。なんなら軽く茹でた豚肉を皿に盛って濃いめに割った蕎麦つゆをぶっかけ状態にしたってウマい。

 

豚肉特有の旨味や甘みを堪能するにはポン酢だとちょっと強過ぎるし、ゴマだれも何だか味を壊しちゃう気がする。蕎麦つゆは絶妙に豚肉の良い部分を引きたてる。未体験の人はゼヒ試して欲しい。

 



先日、久しぶりに豚しゃぶの名店に出かけた。後輩が経営する店だが、そんなヒイキ目を抜きにしても個人的には日本一美味しい豚しゃぶ屋だと思う。高いけど。

 

銀座にある「美らしゃぶ亭」がその店。オープンして7年ぐらいは経つだろうか。場所柄、というかオーナーの性質?もあって銀座の夜のオネエサン出没率が高い店だ。特徴は沖縄の銘柄豚を5種類ほど揃えている点だ。

 

いまや有名なアグーはもちろん、それよりも上等なパイナップルポークという肉が最高にウマい。パイナップルで育てたせいか肉や脂身の甘みが良い。クドさもなく延々と飽きずに食べられる。延々と飽きずに食べていたらお勘定も大変だが、そうそう肉ばかり食べられないからツマミや一品料理をはさんでグビグビ飲んでいれば幸せになれる。

 



ジーマミ豆腐や豆腐ようといった定番の沖縄的ツマミも上質なものを用意している。シャバダバな沖縄居酒屋で出てくるものとは一線を画す。海ぶどうも水槽で管理しているそうで妙にウマい。シューマイやソーセージも旨味たっぷりでハッピーになる。

 

この店では豚しゃぶ用のタレとしてシークワーサーポン酢、シークワーサー塩ポン酢、そして蕎麦つゆの3種類が用意される。シークワーサーポン酢も非常に良い味だが私は海ぶどうに使うぐらいだ。どうしても蕎麦つゆばかり使ってしまう。

 



薬味を出さないのが以前から不思議なのだが、きっと豚肉とタレ自体に自信があるからそうしているのだろう。いや、ひょっとしたらいつも私にだけ出すのを忘れているのかもしれない。

 

数種類揃えてある銘柄豚はそれぞれ肩ロースとバラ肉を選べる。上の画像に写っている白っぽいのがバラ肉、赤身部分が多いのがロースだ。個人的にはバラ肉のほうが大好きだ。本当はバラ肉だけ注文したいのだが連れて行った人が初めての場合、赤身っぽい部分も並べないと収まりが悪い気がして混合状態になる。

 

牛肉のしゃぶしゃぶだったら白っぽい脂身だらけの部分などクドくて食べられないが、上質な豚肉の脂はちっともクドくない。焼肉屋で霜降り牛を1枚も食べられない私が言うのだから本当だ。

 

オーナーである我が後輩は常に店にいるわけではないのだが、たまたまいる時にぶつかってしまうと延々とバカみたいな世間話大会になって飲み過ぎてしまう。この日も何年も洞窟で寝かせていた泡盛の甕の口開けを堪能させてもらった。

 

無心で豚しゃぶを食べたくて出かけた割にはたいして肉を食べずに終わってしまった。また近いうちにヤツがいないスキを狙って思う存分食べてみようと企んでいる。





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