レンタルビデオが世に出てきた時、なんて便利な時代になったのかと感動したのも今や昔。いつの間にか街からレンタルビデオ屋は絶滅し、今やネット経由で何でもかんでも見放題である。変われば変わるものだ。
あらゆるジャンルの映画はもちろん見逃したテレビ番組も簡単に見ることが可能だ。その昔、ビデオ屋に出かけても人気の映画が「レンタル中」だとスゴスゴ帰宅していた頃がウソみたいである。それでも仕方なくエロビデオは常に借りたものだが…。
Amazonプライムビデオをちょくちょく活用する。WBCも民放よりCMが少なかったから里崎がハッチャけた解説をしていたアマプラのほうで視聴した。
ヒマな時は映画も観る。数限りない作品群から観たい映画を探すのが一苦労である。探し疲れて結局は何も観ないことが3回に1回はある。
私は昔からアマノジャク気質だから大ヒット作品は数年後にコッソリ観る。かの「ET」だって大ヒットしてから20年後にコソっと鑑賞して大泣きした。だからトップガンの続編もまだ観ていない。
新しいところでは何かと話題だった「シン・ウルトラマン」は残念だった。最後までちっとも面白くなかった。「シン・ゴジラ」が見応えあったので勇んで見てみたのだが、単なる豪華俳優陣の無駄遣いにしか思えなかった。ファンの人ごめんなさい
最近、心が揺さぶられた映画が「護られなかった者たちへ」である。数年前にかなり評判になった作品だが、今になってじっくり鑑賞してただただウナった。物凄く深い作品だった。
東北のあの大震災が話の出発点だ。避難所で知り合った3人のその後の人生が描かれている。日本人の精神性とそれを取り巻く福祉の現実と限界があぶり出されていた。日本人なら誰もが観るべき映画だと思った。
続いては「罪の声」。グリコ森永事件を知る世代ならやたらと面白い作品だろう。何となく見始めたがみるみる引き込まれてアッという間に見終わったほどの印象だ。小説がベースだが、つくづく小説家や脚本家って凄い仕事だと痛感した。
今も謎のままのあの事件もこの作品を観たら素直に映画そのままの背景が真相だったのではと思えるほど。小栗旬も星野源も個人的に苦手な役者さんなのだが、それを超越して引き込まれた。
続いては私が大好きな「阿部寛」だから観てしまった「異動辞令は音楽隊!」という作品。上で紹介した「護られなかった者達へ」での阿部寛とはまるで違う役柄だ。いや、刑事という点では同じだ。でも描かれ方がまるで別。案外と演技の振れ幅が広い阿部寛のことがまた好きになった。
甘いルックスの長身モデルあがりの阿部寛だが、単なる2枚目路線から脱却したオッサンになってからの仕事ぶりは実にカッチョいい。中井貴一とダブル主演だった時代劇「柘榴坂の仇討ち」なんかはシビれた。
話が逸れた。音楽隊に人事異動したコワモテの刑事・阿部寛の奮戦ぶりを描いた映画だったが内容的には正直ビミョー。阿部寛を眺めるのが好きな人にはオススメ。
こちらは地味な映画「前科者」。有村架純演じる保護司が前科者達の更生を見守る話だ。なかなか染みる作品だった。元ジャニーズの森田剛が渋い演技を見せていた。上に紹介した阿部寛の音楽隊映画にも出ていた「磯村勇斗」がこの作品でも重要な役を演じていた。
かの名作?「今日から俺は」で主人公と敵対する不良学生を演じていた磯村勇斗はいまやすっかり名脇役のポジションを掴んでいる。ナゼか私はあの俳優が好きで今後ますます伸びていって欲しいと秘かに応援している。
私がたまたまアマプラで観ているような映画は映画ファンなら既に鑑賞済みだと思うが、さほど話題にならなかった(たぶん)作品の中でも考えさせられるものがあった。「PLAN75」という作品がそれ。
これまた磯村勇斗がなかなか良い芝居を見せてくれていた。75歳になったら自分で安楽死を選べる制度がスタートした世の中を舞台にした切ない作品。倍賞千恵子演じる主人公が置かれた老境の現実が切ない。いろいろ考えさせられる映画だった。
一転して底抜けに楽しかった映画が「マイインターン」だ。観た人は多いと思うが私は今更とても感動した。ロバートデニーロとアンハサウェイの共演作。中高年以上の人たちにぜひ観て欲しい作品だ。
老人力というか、長く人生を歩んできた人間の余裕とカッコ良さが前面に押し出されている。アンハサウェイ演じるイマドキ系女社長がデニーロの落ち着きぶりに次第に惹かれていく。
“シャツをズボンから出したままでネクタイにも無縁な男達”を嘆くシーンが印象的だった。IT企業にひょんなことで紛れ込んだデニーロの泰然自若ぶりは世の中高年を勇気づける姿に見えた。
とかく古めかしいことを卑下される流行社会の中でいつのまにか若い社員達もロートルのデニーロの姿や振る舞いに感化されていく感じが良かった。
時代遅れのカッコ良さって間違いなくあると思う。アンチエイジングに励んで若い人の真似だけしている中高年の格好悪さの対極である。
映画の中でもデニーロは数十年前のアタッシュケースにこだわりオーソドックスなスーツにネクタイを自然に着こなす。自分なりのぶれないスタイルは考え方や行動も同じ。その上で若い世代の声にも耳を傾け自然体で馴染んでいく。
そんな年寄りの格好良さを描く作品を邦画でも観てみたい。私が好きな三浦友和や小林薫あたりを起用して、反発しながらも最後は取り込まれてしまう若者に磯村勇斗を使えばきっと見応えのある作品になりそうだ。
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