稲庭うどんの老舗「佐藤養助」が首都圏に初めて出店した銀座店に行った。うどん屋さんというカテゴリーというよりモダンな和食屋さんという風情。
場所柄、うどん以外にもメニューは充実。秋田料理を中心に酒肴もあれこれ揃っている。刺身もちゃんとした品質、比内鶏の焼きものも美味しく、使い勝手は良さそうだ。
店内は、座席の感覚もゆったり、壁面には滝のように水のカーテンが流れ、居心地良し。うどんもさすがにつるっと喉ごし抜群で老舗の矜持がうかがえる。
それにしても、店の名前が人の名前そのままっていうのは結構格好いい。知らない人が「佐藤よーすけに行こう」って言われたらビックリしそうなところがいい。
名前自体がブランドという発想は日本では、微妙にアレンジされることが普通だ。ファッション関係でも、たいていローマ字表記で欧米風に姓名を逆さにしてようやく固有名詞にする。
TAKEO KIKUCHIにしても、タグに漢字で菊池武夫と書かないし、どうしてもニセ外国人みたいな表記をする。
思えば、欧米社会では、先駆者などの名前をやたらと公共機関の名称に使う。空港や道路なんかそればっかりかもしれない。
面倒なのでカナ表記するが、ジョン・エフ・ケネディ空港、シャルル・ドゴール空港など。イギリスにはジョン・レノン空港もある。アジアでも、ジャカルタはスカルノ・ハッタだし、マニラもニノイ・アキノだし政治的な英雄が冠になっている。
古い時代の人ではなく、近現代の人物が多いことが興味深い。日本で似たような取組みをしたら「吉田茂空港」、「佐藤栄作空港」、はたまた「新渡戸稲造空港」など。やっぱり変か。でも「西郷隆盛空港」なんて結構いい感じだ。
一応、日本にも人名を冠した空港が存在する。「高知龍馬空港」がそれ。龍馬さんの名前自体が「ひろし」とか「さくざえもん」だったりしたら、空港名にはならなかっただろう。リョーマという響きが地名と混ざっても違和感がないのでしっくりくる。
でも、日航や全日空のホームページを見ても基本的には「高知空港」という表示が中心で、龍馬空港という愛称が全国的に認知されているわけではない。
外国の名車も個人名が多いのに対して、日本車にはそういう習慣はない。日本人が奥ゆかしいのか、単に横文字風の造語の方が格好良く感じる習性があるのか、よく分からない。ただ、名品といえるレベルのものを扱うのなら個人のフルネームをそのまま商品名や店名にしちゃっても格好いいと思う。
和食や寿司屋では店主の苗字がそのまま店名になっていることが多いが、フルネームが店名になっている店があったら覗いてみたい。自信に満ちあふれた料理が出てきそうな気がする。
銀座・佐藤養助のうどんも自信ありげな味だった。その日の夕食は、いろいろ難しいことを考えたり、会食相手へのお願いごとなどもあり、いっぱい食べられなかったのが残念。もっとすすっておけば良かった。反省。
2008年2月27日水曜日
フルネームの店
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