2008年7月23日水曜日

魚たちの「瞬間」

漁船の一斉ストにまで発展した原油高問題。魚食ニッポンにとってまさに深刻な問題。

と、真面目なテーマで書き始めたが、魚食について考えていたら、水中で目撃した魚同士の魚食とか、「かじられちゃった魚」を思い出した。

水中写真撮影を趣味にしていると、潜っている間、変わった被写体がいないかキョロキョロする。スズメダイあたりは珍しくないので気に留めることはないが、写真の個体は、なんとなく動きが変だった。よく見ると背中がしっかりかじられている。

運が良いのか悪いのか、内臓系を攻撃されたわけではないため、一応ケナゲに泳いでいる。自然界はシビアで、このように弱みを見せた魚は真っ先に標的にされるため、こんな状態の魚を目にすることは珍しい。

きっと、このスズメダイの周りにも彼の異変を見てとった魚連中が、虎視眈々と彼をいつ襲撃するか狙いを定めていたと思う。

水中で魚がアタックされるシーンに遭遇することは珍しくない。ただ、イワシとか小型の魚の群れに大型の回遊魚がアタックするようなパターンがほとんど。そうした「狩り」は凄いスピードで行われるので、かじったり、飲み込んだりするシーンをはっきり見るチャンスはあまりない。

見られるとしたら、根付きの中型魚が、同じく根の周りをウロついている魚を襲う時ぐらいだろうか。

2番目の写真はそんなシーンを捉えた一枚。ハタがハギの仲間を捕食したところ。一瞬の狩りに成功したハタの目つきがどことなくワイルドに見えるのは気のせいだろうか。

このほかにも、捕食の瞬間を運良く捉えた写真がいくつかあるのだが、探しきれなかったので、またの機会に紹介したい。

海の中で展開されるシビアな「食うか食われるか」の世界。そんな苦労を乗り越えて生きている魚を、いとも簡単に刺身にしたり、煮たり、焼いたりして食っちゃうのだから人間は恐ろしい。

捕食写真探しのついでに見つけた「偶然の瞬間」を撮影した写真を2点紹介する。

最初は大口開けて内臓まで見せそうな勢いのジョーフィッシュの仲間。普段は巣穴から顔だけ出して周囲を警戒する魚なのだが、たまたま外出中に私のカメラに発見され、逃げられずに、たまらずこちらを威嚇してきた瞬間。

この魚の体長はせいぜい10センチ程度。自分の何百倍もの大きさの外敵に必死で向かってこようとするのだから、自然の生き物は力強い。

続いての写真の魚は、目の縁の色彩のせいで名付けられたメガネゴンベ。サンゴの間にピョコンとヒレを乗せてマッタリしていたのだが、よほどお疲れだったのか、突如、大あくびをした。もうちょっと下から煽り気味にカメラを構えられれば、もっとユーモラスに撮れたのだが、なかなかここまで口を開けることはないので、撮れただけで満足している。

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