2008年7月29日火曜日

福祉の格差


縁あって八ヶ岳近くにある社会福祉法人を視察させてもらった。障害のある人への就労支援やグループホームの運営を通して、障害をもつ人々の社会基盤を充実させようという理念で活動している。

小麦の生産、花の栽培、造園やパン・焼菓子の製造を中心に活動している施設は、もともと個人の私財を投じて作られたもの。

八ヶ岳や富士山も望める空気の綺麗な環境で、障害をもつ人々が笑顔で作業をしている姿が印象的だった。施設内部はすべて清潔に保たれており、小麦精製の作業場やパン工房も作業終了時に覗かせてもらったら、非の打ち所のないほどピカピカ。

施設長から色々なエピソードもお聞きできたが、その熱意とどんどん膨らんでいく夢を語る姿が実に印象的だった。

この社会福祉法人は、東京某所で障害者就労施設でもあるパン工房の運営管理も行っており、そこの実績は売上げベースでも相当な水準。

夜間人口が極端に減少する首都圏中心部では、慢性的な昼食難民が話題になる。このパン工房もそうした立地でのランチ需要を一手に取り込み、丁寧に誠実に作られたパンは毎日飛ぶように売れるそうだ。

障害を持つ人々のなかには、一つのことを丁寧にこつこつ集中して行うことが得意な人が多いようで、職種によっては、その仕事ぶりは、一般企業レベルでも充分な戦力になる。

融通がきかない、頑固な人も多い一方で、サボらない、妥協しない点も特徴らしく、いわば職人仕事に高い能力を発揮する人も多いようだ。こうした人々の社会進出がもっと注目されるべきと痛感した。

近年、障害者自立支援法が本格スタートして社会福祉法人の在り方が注目されている。

以前であれば、“横並びで国の支援だけを受けてジッとしていろ”的な行政の姿勢も大幅に変わり、現在は、センスと経営手腕の高い社会福祉法人であれば、より画期的な活動が展開できる。

それによって収益を生めば、その法人自体の活動環境が向上するわけで、今回視察させてもらった法人などは今後も色々な計画を準備中だ。

もちろん、昨今の自立支援という方向性には、弱者切り捨てという批判もついて回る。画期的な活動を展開できる一方で、センスの無いやる気も使命感にも乏しい社会福祉法人は、当然、低迷の一途をたどるわけで、言ってみれば、障害者福祉の世界にも格差の時代が到来している。

さまざまな専門施設にも淘汰が起こりえるなら、施設を選ぶ側の自己責任という難しい問題も出てくる。弱者本人はもとより、その家族の情報収集能力や努力で、施設利用者の明暗が別れるわけだから厳しい話ではある。このあたりの課題が気になった。

いずれにせよ、“富豪”を名乗る以上、いつの日にかホンモノの富豪に昇格して、今回見てきたような、素晴らしい施設作りに巨万の富を投じてみたいと本気で思った。

世の中のリッチ層の間には、福祉貢献に意識はあるものの、どこにどのようにして協力していいか分からないという声があるらしい。確かにインチキやキワモノに当たってしまったら洒落にならないし、そういう組織も現にあるのだから難しい。

ボランティアといえば、自らが直接貢献することばかりがイメージされるが、全国各地の前向きな真面目な施設を特徴ごとに紹介するような、いわば交通整理、情報整理を専門に行う中立的なボランティアがあってもいいように思った。

今日は珍しく、キモとか寿司とかクラブ活動とは次元の違う話を書きなぐってしまった。

0 件のコメント: